2020年1月5日日曜日

年頭所感:宇宙の過去問は神の数式で解けるか(その一)

新年のご挨拶を申し上げます。2020年は十二支で鼠(マウス)年、理解社会学のブログを開設して10周年目の新年にあたり、流れ星に乗るマウスの尻尾で、宇宙の壁に書初めをしたい。今年は文字でなく数字、数え言葉に託し新春の初夢を載せてみたい。
広大無辺の宇宙空間では、渦巻く銀河の星々が回転し場所移動する。我々は運動の軌跡を準えるのみ。電波望遠鏡で今見ているのは、ビッグバンから数えておよそ百三十八億年前に起きた(映像が届くに、光速でもこれだけの時間がかかっている)ことなので、いま壁面四分座(へきめんしぶざ)の流星を頭上高く見るにしても、地球を含む宇宙空間の「過去問題」を解くに等しい。
人類史や民族史・宗教史などスケールが小さすぎて、巨大なガス雲の塊にミクロの塵を探し出すようなもの。実数と虚数 i の組み合わせ(複素数)を以て点と線を結ぶのが精いっぱい。それでも、四面ある平面座標にどうにか描画できるようになる。
虚数単位の i (二乗すると-Ⅰ、0未満となる)を用いて、万象を巻き上げ巨大な渦をなす創造前夜、恐竜と神々の争うカオス(混沌)の世界を解析幾何学で再現すると、反時計回りに世界が全く別様に見えてくる。
デカルトの解析学以来注目されたオイラーの等式、 i * i = -1を用いて座標平面が成り立つ。物理学者のリチャード・ファイマンを、「我々の至宝にして、数学における最も注目すべき定式である」とうならせたことで知られる。歴史の過去問題は神の数式で解く他ないと、当時高校生のわたしにそれを気づかせ指南してくれた、思い出の数式である。


は自然対数の底、ネイピア数(2.71828182845 … と無限に続く、1+1 /nn乗した数の極限、n → ∞)注1、ニヒリズムをめぐる表象文化の多事総論を黙らせるに十分であるが、世界の理論物理学者たちが競って、ヒッグス粒子の発見を以て宇宙世界の設計図に迫るも、「振動する紐」を極小単位とする超弦理論(別名:超ひも理論、Super String Theory)では、弦で奏でる音も意味も定かでない。音が資本・意味は利子の現実世界にほど遠く、壁観論の要「神即無」には遠く及ばない。(続きは→その二で)

付記:二〇二〇年(令和二年)のマニフェスト
比較宗教史の観点から要請されていることを再認識、東京大学大学院宗教学・宗教史学のみならず、駒澤大学仏教学部に禅宗史を学びなおすことで、超域文化的な対話元年を切に念願したい。水面に映る影に我が身を振り返り、脳中深層に淀む偏りを正すためである。壁を背に先輩禅師と向き合い、読者の声によく傾聴し、ブログ上の討議に参加していただけるよう、短くてわかりやすいスタイルの投稿を心掛けたい。年頭所感を二部に分けたのはそのためである。『ダルマコード:禅に学ぶ自己のテクノロジー』の公刊はその後でいい。今年もブログをご愛読いただけるよう、創意工夫を惜しまない一年としたい。
Shigfried Mayer(宮村重徳), copyright © all reserved 2020. 理解社会学研究所所長、法政大学大原社会問題研究所嘱託研究員、株式会社岡本カンパニー講師、東京大学大学院研究生志願中。

注1:自然対数の底(ベース)は、自然界では巻貝の例がある。1618年ジョン・ネイピアによって発見された対数研究の成果。ネピアの定数とも呼ばれる。厳密には、ネイピア数そのもを発見したのはヤーコブ・ベルヌーイと言われている。複利計算の用途で求められた。この数に定数記号 bを割り当てたのがゴットフリート・ライプニッツ、定数記号に e を用い始めたのがレオンハルト・オイラー(『力学』、1736年)である。デカルトはそれを取り上げ解析学の対象として一躍注目させたに過ぎない。自然対数に対して、常用対数の底(ベース)は10である。コンピューター処理に用いられる。a = e とするネイピア以来の自然対数に対して、情報科学では a = 2 とする二進対数が用いられる。半音のオクターブを表すに、音楽の分野でも二進対数が用いられている。

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