2020年4月20日月曜日

コロナ禍とパンドラの箱、噂の真相

二〇二〇年度理解社会学研究所春季オンライン公開講座(第二回)

誰がパンドラの箱を開けたのか、米中間で争われている新型コロナウイルス発症源の責任追及は後でいい。『感染爆発』の著者マイク・デイヴィスの寄稿論文「大疫病の年に」で、問題点は十分掘り起こされている。合衆国の医療制度の欠陥を述べる中で、「アメリカにはコロナというパンドラの匣を閉じたままにしておく制度が不足しているという事実に、驚くべき点は何もない。2000年以来、この国では保健医療の前線が何度も崩壊しているのだから」と指摘している。いまこのブログでコロナ禍とパンドラの箱(=匣、はこ)を論じる直接の引き金となった。[1]
古代ギリシャの詩人ヘシオドスが『仕事と日』(47-105)で若者に語り伝える処では、プロメテウスが天上の火を盗んで人に与えたことに怒った主神ゼウスが、職人の神ヘファエトスに命じて、粘土を捏ねて女というものを造らせる。人類(盗んだ火を使う人=男?)に災いをもたらすためという。その後、あらゆる災禍の詰まった箱(原語のピトンはボックスでなくジャー)を嫁入りの際にパンドーラに持参させる。
パンドーラは、またとない美貌を持ち、男を誘惑し苦悶させる官能的音楽のタレント、恥知らずの狡猾心をすべて具備した人類初の女性、聖書の創世神話に出てくるエヴァと、誘惑に負けた点では一致するが、蛇の話しは出てこない。 
     


「ゼウスからの贈り物を受け取るな」との兄プロメテウスの警告を無視して、弟のエピメーテウスは彼女に一目惚れして結婚する。ところが、パンドーラは興味津々、嫁入り道具として持参した箱(正しくは壺)を自分で開け、中を覗いてみたら大変なことに。疫病・悲嘆・欠乏・犯罪がジャーから外の世界に飛び出し、災禍が世界に蔓延してしまう。
あわてて蓋を閉じたが、「最後に希望という名の災禍が残った」という意味深長な文言をめぐり、研究者の間で解釈が分かれている。希望が即禍いなのかどうか、あらゆる災禍が出尽くした後に、最後の頼みとして、希望だけが残った(人類の手元に残された)と解釈するのが一般的で無難だが、希望と災禍が絡み合うプロパティーと矛盾する。この記述に、男性優位の社会的偏見と女性差別を疑う人も少なからず、議論は錯綜し落着していない。
表向き希望(エルピス)と称されているが、希望は男を欺くための甘いマスクにすぎない可能性がある。希望と禍い(神面と鬼面)は紙一重の両義性、世代更新の根幹にかかわること、あえて希望を「悪いことの予期」と解釈する人もいる。
予期される答えは二つ(ポジティブとネガティブ)、盗まれた天上の火が環状コロナの核かどうか、比喩を過ぎればぎくしゃくする。核のヌクレアス(nucleus)自体が多義的で、細胞の核や原子の核、彗星の核でもある。クラウドの環状コロナとのマクロ関連はよくわからぬが、ミクロの微生物世界では少しばかりわかることも。
パンデミックから帰結すること、グローバル化した資本主義世界を襲う大疫病は、マイク・デイヴィスが言うように、「公的保険のインフラストラクチャー」再構築無しに生物学的持続性は不可能だ。「巨大製薬会社と利益優先のヘルスケアの持つ権力が、民衆運動によって打ち破られなければ決して生み出されない」。希望は見えそうで見えない、利権に呪縛されているから。以下は余話、インフルエンサーの身近な観察、読み飛ばしてもらってもいい。
細胞膜を難なく超えて忍び込む、糖脂質でスパイク状の突起を覆う(包み隠す)ことで、自分は無害だよとヒト免疫細胞に予断させ、脳の指令に誤作動を起こさせる、類似した免疫不全(例えば腎不全)の症状が重症患者に観察されている。
症状の無いままで感染源となるからと、若者だけを非難するわけにはいかない。この度のウイルスは、自他を混同させ自性をすり替えるずるい働き、偽を真と見せかける狡猾な活動スタイルに於いて、パンドラとコロナのケースは怪しく似てくる。案の定、ウルイス研究の最前線では、イソップ童話の「赤ずきんちゃん」に準えて、「羊の皮衣をまとった狼」に譬えられている。〔2〕
パンドラ神話とコロナ禍の話題を単純に比較することはできないが、他にも興味深い接点がある。そもそも、なぜ感染者と死亡者の七割以上が男性なのか不明だが、性染色体の構造と分泌ホルモンの関係が取りざたされている。女性が二つのX染色体を持ち、ダブルチェックが可能なのに対して、男性にはX染色体とY染色体があり、免疫系破壊と無効化の非常事態に対応する余裕がないせいか。女性ホルモンが感染拡大を抑制するのか、安らぎの物質オキシトシン分泌の事例あり、男性には絆となるから、無関係とは言えない。
古来、火のないところに煙は立たないと言う。確かに、新型コロナのケースでは、被害者の七割を男性が占めるというデータの裏付けがある。そのつど免疫系を破壊し無効にする疾風怒涛の勢いだけでなく、回復しても再感染が後を絶たないファクト(事実)には、国籍に関係なくジェンダーの差がないように見えて、男性根周りに潜み庇護されるかに見える、妙な動きをする。
後追いのワクチン開発では、もはやヒットアンドランで全人類を襲う未曽有の災禍に対処できない、希望だけが後に残されたとの神話の意味を探るに、脳内スイッチのオンオフをどうコントロールすれば、「プロメテウスの罠」(朝日新聞、2011年の連載記事)以上の斬新な局面転回が期待されようか。〔3〕
とにかく、通説の自然変異では説明がつかないことが多すぎる。サルス(SARS)やエボラ出血熱と新型コロナ(Covid19)で似て非なる処、相手を選ばないコーティングの恣意性を見抜き、見えざる働き手の特異点を見破れるかどうか。
強毒性だが、マスクをして甘いシグナル物質を放ち、糖脂質(グリカン)で自分を覆い受容体を油断させる。惹き付けておいて乗っ取る仕方、無症状の人の赤血球(酸素を運搬するヘモグロビンのヘム)を襲い、酸化スイッチのポルフィリン(porpyrin、環状構造をした有機化合物)を奪い取る。血中の酸素が極端に欠乏する結果、呼吸器官に致命的なダメージを与え、たちまちキャリアを廃人とする。
宿主(ヒトの免疫系)に引導を渡すモノの働きは不気味であり、ウイルスとの安易な共生論を許さない。パスオヴァーした後から振り返れば、慣れ親しんできたものがすべて破壊されて、自分を偲ばせるものも奪われて、何らの影すら残されていないから。〔4〕
新型コロナの蛋白質(プロテイン)が、受容体の蛋白質(ACE2)にスパイク(突起)で結合するその仕草(「騙し」のテクニックは人為を疑わせる事件性)に、今は注目しておきたい。ACE2(アンジオテンシン変換酵素2)は女性の卵巣にない、男性の精巣に豊富にあり、ウイルスが免疫細胞の攻撃を避けようとして、睾丸に隠れる(精巣を隠れ蓑にしている?)との新説まで聞かれる。
喫緊の問題は肺より血中にあり、コロナ禍の治療に人工呼吸器より血液浄化器が必要かつ有効かどうか、最新レポートでは、人工透析が必要な腎不全との因果関係が指摘されている。少なくとも、医療関係者が院内感染せぬよう、注意深く感染経路をセルフチェックすることで、高齢の男性が終活する希望を次世代につなぎとめることはできよう。〔5〕
それでも、誰であれタブレット端末や紙幣・硬貨など、手垢のついたものにタッチせずにはいられない。手洗いやアルコール滅菌で、或いはキャッシュレス社会の実現で済むことか。濃厚接触を避け空気感染を予防しても、マスクだけでは防げない。土足でウイルスに塗れた土を家に持ち帰り、親しくハグしあう生活習慣を改め、靴底に付着したウイルスを徹底消毒しない限り、無念の悲劇は欧米で繰り返されよう。
ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)が強く要請される今日、「不安のあまり公共性のマスクするヒト」(非本来的実存、ハイデガー)に求められる、「隔たりのあるコミュニケーション」(ポール・リクール)はどう実現可能か。空々しい社会的距離を置いて、どこまで意思疎通を密に図れるのか。いつまでも、フェイスシールドを付けて経済活動するわけにはいかない。
活動的生の脱魔術化に理解社会学(マックス・ヴェーバー)、都市社会学(マイク・デイヴィス)が切り札となる。瞑想的生の自己吟味(共感的批判)には、「禅に学ぶ自己のテクノロジー」を以て危機に瀕した知性改善をはかる、自立思考のワクチンとしたい。
最後は蛇足、コロナ疲れの読者のために楽しい余話をひとつ:古来日本では、浦島太郎の玉手箱(カスケット)が筋書で一部似ている。『御伽草紙』(鎌倉時代末期から江戸期の作品)では、鶴と亀として男女が再会する心温まる話、竜宮城の乙姫に「絶対開けてはいけない」と念を押されていたのに、ご褒美の玉手箱を開けて一気にエイジング(青年がたちまち白髪の老人となる)。
エイジングの秘密:女(助けた亀の化身)に婚姻を迫られて、三年後故郷に逃げ帰る男の顛末、快楽の三年が苦渋の七百年になっているとは、誰も笑っては済まされない。民話は神話でないから、神々は登場しない。パンドラの箱と玉手箱、連続性は真であるが、似て非なるところ(旧新の非連続性)を見逃してはいけない。4月29日、5月4日更新
Shigfried Mayer(宮村重徳), copyright © all reserved 2020, 理解社会学研究所所長、法政大学大原社会問題研究所嘱託研究員、㈱岡本カンパニー講師

 追記:政府の緊急事態宣言を受けて、予定していた講演会が開けない。オンラインでの公開講座となる。引用される際には、著作権に留意し、著者名とアドレスを明記してくださるようお願いしたい。なお、当ブログの記事内容は、専門外のデータ分析を広く参照しており、分野を超えた生産的議論を深める目的でも、理解に何らかの偏り・誤り・不正確さもあり得る。ご指摘あれば正す用意あり。
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基本文献:中務哲郎訳『ヘシオドス全作品』(京都大学学術出版会、2013年);高津春茂(編)『ギリシャ・ローマ神話事典』(岩波書店、1960年);『御伽草紙』上下(岩波文庫、1985)。
脚注一覧
[1] マイク・デイヴィスはアメリカ合衆国の都市社会学者、わたしが読んだ英語の寄稿論文はJacobin誌に掲載されたもの、Mike Davis on Coronavirus "In a Plague Year". 03.14.2020. 
https://jacobinmag.com/2020/03/mike-davis-coronavirus-outbreak-capitalism-left-international-solidarity;
その後「特別掲載・大疫病の年に」が明治大学の政治学者・重田園江訳で筑摩書房のウェッブサイトに公開されている。http://www.webchikuma.jp/articles/-/2004
挿絵のパンドラはウォーターハウスによる、John Wiliam Waterhouse - Pandora, 1896.jpg
〔2〕220日付の時事通信社の報道(「スパイクの立体構造解明」)では、アメリカのテキサス州立大学と国立感染症研究所の研究チームのレポートが参照されている。また、サウサンプトン大学の最新研究では、スパイクがコーディングする際のシールドが、他のウイルスに比べて弱いと指摘されている。ワクチン開発の決め手になるかもしれない。  https://medical.jiji.com/news/28300
 https://www.southampton.ac.uk/news/2020/04/coronavirus-spike-glycan.page
〔3〕『プロメテウスの罠 -明かされなかった福島原発事故の真実』、朝日新聞特別報道部、学研パブリッシング、2012年。連載ディスクの寄稿者の一人宮崎知己は、私と同じ、法政大学大原社会問題研究所の嘱託研究員。プロメテウスの火を原子に火に準える暗喩(メタファー)の技法が注目された。
〔4〕ヘモグロビンは、赤色素の鉄原子ヘム(Heme)と球状蛋白質のグロビン(Globin)からなる。ヘムの鉄原子が酸素分子と結合することで、ヘモグロビンは体の隅々に酸素を運搬する。二価の鉄原子ヘムとポルフィリン(Porphyrin, 鉄と結合していない中間体、金属錯体、余分な蓄積または欠乏を防ぐために、総鉄イオンFe2+の存在の有無で厳密に管理されている)を生合成するのは、アミノレブリン酸合成酵素(ジンターゼ)。律速酵素ともいうが、細胞内のミトコンドリアにある。マラリア原虫がヘモグロビンを栄養分とするのと同じく、新型コロナウイルスは、活力を得るために血中のヘムを攻撃し、中間体である総鉄イオンのポルフィリン(酸化鉄系の産物)だけを取り込む。その理由はまだよくわかっていなかったが、酸化スイッチの働きに謎を解く鍵があろう。スイッチをオフにすることで、酸素の運搬が不可能となる。その結果を、重症患者の二割から四割が腎不全を患い、人工透析機器を必要としているとの最新報告が裏付けており、其処から及んだ影響関係の大きさ・深刻さを雄弁に物語っていよう。
 https://www.jiji.com/jc/article?k=2020041900132&g=int
〔5〕間接証拠:男性の感染者・死亡者が全体の六割にも上る、身近な新型コロナウイルス騒動の顛末と、微生物間のレヴェルで妥当するシグナル物質(フェロモンやホルモン系を含む)の話が、どこかリニアルにつながる予感がしてならない。
新型コロナが「肺疾患でなく、赤血球の疾患」を引き起こす点に注目して、血中の酸素運搬の不具合が解決するとの事例が報告されている。「コロナ治療、人工呼吸器より血液浄化器が必要か、中国新研究」、 NewSphere 2020, が参考になる。https://newsphere.jp/national/20200416-1/
例えば坑マラリアの炎症を抑える特効薬のクロロキン、マラリアは原虫が赤血球を栄養に取る感染症。日本のアビガンやアメリカではエイズ(ヒト免疫不全症)治療薬のレムデジビルに、ウイルスの自己複製を阻害する効果が認められていることからもわかる。この関連で、誤作動の原因がつかめるのではないか。騙し手を騙すテクニックに、ホモサピエンスとしての工夫があっていい。米中韓に負けない、若年世代の東大医学部系ウイルス研究者には奮起を、堀江宗正ゼミの「サステナビリティ―と人文知」(人文社会系)に突破口を期待したい。

2020年4月9日木曜日

先端技術のタッチパネルに感染経路の疑い

 医師や看護師が共有する医療機器用のタブレット端末が、休憩室と合わせ、院内感染のルートではと疑われている。大分国立感染症医療センターの事例について、厚生省担当員の調査報告による。【1】
タブレット端末は、日本が世界に誇る先端技術のタッチパネル仕様、素手の指でタッチするのは便利で快適だが、ウイルスの感染経路に早変わりもする。診察後みなが同じタブレットを使い回し、素手の指で触り捲ると、無意識に感染を広げている可能性があると指摘されている。
僕たちも、日頃からスマートフォンを使い慣れているせいか、駅などの切符売り場のタッチパネルを何気なく使っているが、その実背筋が凍る怖い話だ。多少面倒でも、パネルをアルコール消毒するか、使い捨てのゴム製手袋を使えば感染リスクは回避できる。
日本のタッチパネル技術をアイフォンに導入した、さすがのスティーブ・ジョッブ氏もそんなはずではと驚く・肝をつぶすに違いない、思わぬ展開に天国で顔面蒼白になっているかも。
いずれにせよ、感染経路の一つが判明したことで、新型コロナウイルスの脅威を軽減し、安心の日常生活を取り戻せるきっかけとなることが期待される。少なくとも、医療関係者の感染を防ぎ、院内感染に歯止めをかけることができよう。まだ、外堀がほんの少し埋められたにすぎないが、危機を超える一筋の希望が見えてきた。
 理解は力、言葉によることだが、不明な感染経路や敵の顔が見えぬ不安・虚無の勢力に打ち勝つには、同時に無の実践(無心の技法)が求められる。これだけは、AI(人工知能)にも新型ウイルスにもまねができない。
【1】「手摺・ドア・ノブは消毒したのに、大分の院内感染、盲点になった感染経路」(読売新聞49日付朝刊、電子版)参照。
Shigfried.Mayer(宮村重徳), copyright © all reserved 2020, 理解社会学研究所所長、法政大学大原社会問題研究所嘱託研究員、㈱岡本カンパニー講師

2020年4月6日月曜日

ホモサピエンスに誤作動をもたらすシグナル物質?

人類(ホモサピエンス)の知的営みを混乱させ、文化遺産を換骨奪胎して無意味化する、脅威的なウイルスの正体は何か、何者なのか。若者と高齢者を世代間の亀裂に持ち込むのは自然なのだろうか。非生物の自然が企てるにしてはあまりにも悲惨で大胆すぎる。人間の知的営み・コミュニケーション能力を笑いものとするのは、「自然が無差別」の理由で済まない、もたらされる結果があまりにも不自然で唐突だから、エス(「それ」)に係わる何らかの予期せぬ事件性(環境変数の劇的変化に想定外の因果関係)が予想される。以下では、「日経サイエンス」などに掲載された論文をいくつか紹介。
デボラ・ブラムは「匂いで伝える人間フェロモン」という論文(2011年)で、女性だけの集まりで月経周期が同調するとの実験結果を踏まえて、匂いを出して引き付け合う、シグナル物質のフェロモンを特定している。マーサ・マトリントックの論文「月経の同調と抑制」(1971)を参照していることからマトリントック効果と呼ばれているが、新型コロナウイルスが宿主候補の蛋白質に誘いをかけるメカニズムは男性でも同じかどうか。
私見では、フェロモンより性染色体のジグナル物質に、宿主側の注意が喚起されている。人間は、換骨奪胎されたそれを混同し、無意識に反応していよう。コロナウイルスの自己複製(カット&コピー・ぺ-スト)メカニズムとの関連を解明すれば、自分の乗っ取り事件を防ぐことも可能となろう。事例は一部にとどまらない、確かに匂いや味わいの初期障害が数多く報告されているが、脳科学での検証が待たれる。[1]
他方、生物学者の福岡伸一(青山学院大学教授)によれば、新型肺炎のコロナウイルスに、「動的平衡」のメカニズムが働いていると認識し、撲滅すべき対象でない。むしろ「ウイルスとの共生」こそ必要なことだと示唆している。福岡は、宿主側の蛋白質がウイルスのそれが容易に結合する背景に、宿主側の分解酵素が積極的に反応し、「招き入れているとさえいえる挙動を示している」と指摘している。誤作動の因果関係をめぐること、デボラ・ブラムの報告と合わせ、哲学者も宗教学者も社会学者も傾聴し、改めて共有すべき思考課題である。[2]
蛇足:感染爆発(エピデミック)の背後に、不安からマスクする群集心理あり、ひいては利権をめぐる思惑とワクチン開発競争の弊害がなくならない。=0の予想外割のような隠された人為的意図の介在を想定せざるを得ないと考えるのはわたしだけか。
新型コロナウイルスは、疾風怒涛(シュトゥルム・ウント・ドランク)を特徴的スタイルとする。自覚症状が現れる直前が最大の山場、感染拡大のピークを迎えるというから、門戸を閉じて外出しない、悩み耐え忍んで、疫病を「過ぎ去らせる」のみ。疫病をパスオヴァーする、ネガティブ・ケイパビリティ―に必要とされるのは、「希望の哲学」(ブロッホ)あるのみ。
『出エジプト記』(11章~12章、最後の災いと主の過ぎ越し)を参考にして、月並みの忍耐以上の何が必要か。長いトンネルを抜け出して安心の日常性を取り戻す、安心壁観(ウォール・ゲイジング)による突破が期待される。
4月8日、4月12日、4月20日更新
Shigfried.Mayer(宮村重徳), copyright © all reserved 2020, 理解社会学研究所所長、法政大学大原社会問題研究所嘱託研究員、㈱岡本カンパニー講師


[1] Debora Blum, The Scent of Your ThoughtsSCIENTIFIC AMERICAN October 2011). 
西オーストラリア大学動物生物学研究所(リー・シモンズ)から無効との反論はあるが、実験の再検証はあくまで人間同士に限られたこと。種の壁を越えた微生物間の分析レベルではない。脳科学での吟味と検証が待たれる。
[2] だから、「ウイルスは自己複製するだけの自利的存在でなく、むしろ利他的な存在である」と結論付けるのは早急ではないか。
https://www.asahi.com/rensai/list.html?iref=pc_extlink