2016年11月14日月曜日

エヌ・ピー・オー法人、花紐社の立ち上げについて

 ブログサイト「理解社会学の工房」を初めて六年の歳月が経ちました。読者の皆様には心より感謝申し上げます。実は、これに前後して「花紐社」(かちゅうしゃ)というベンチャーを創設していましたが、多忙な研究活動の為に休眠状態でした。この度長年の研究論文が完成したこともあり、七年目に当たる次年度に、この花紐社を本格的なエヌ・ピー・オー(NPO)法人として登録し活性化することにしました。設立目的は、世代交代を支援し円滑にすることです。無牧で困っている教会、後継者・代務者がいなくて困っている組織、立ち往生のリスクに晒されている寺社等を登録していただき、ご相談に乗ることに致します。
まずは情報をお寄せください。思想・信条・宗派・宗門のいずれを問わず、相談を受け付けます。何ができるかは、何を必要とされるのか、それ次第です。応援説教や宗教講話でお助けすることも出来ます。教会や寺社が閉鎖・廃屋に追い込まれる前に、皆で知恵を出して協力し、明日の世代を担う子供たちの為に有用なコミュニティーまた生涯学習の場所として再生できるよう努めていく所存です。必要となる協力者の申し出があれば歓迎します。また資材の寄付や資金援助を受け賜わることができれば光栄です。11月15日更新。
 理解社会学研究所長、花紐社代表、宮村重徳

2016年11月9日水曜日

若者たちの夢を打ち砕いた最悪のシナリオ、どう向き合うの?

  ドナルド・トランプ氏のアメリカ合衆国大統領選出で、誰が喜んでいるのか知りたいものだ。少なくとも若者たちではない。錆びた鉄の町デトロイトを中心とした失業者達を含め、白人を中心とした没落組、壮年以上の人々が彼に投票したと聞いている。彼に何等かの変革への望みをかけた気持ちはわかる。しかし、政治音痴の彼にである。明日を担う若者たちの失意は隠せない。多民族国家の合衆国が今後どうなるのか成り行きを見守る他ないが、こんなにも見通しが立たない選挙結果を見るのは初めてだ。明日の見通しが立たないということは、正直に言って怖い話である。新大陸に夢を託したハンナ・アーレントの政治哲学が、不毛な荒れ地に晒されて忘れ去られようとしている。残念だが、アメリカンドリームの化けの皮がはげ落ちるのを見守る他ない。

2016年11月1日火曜日

久松愼一『無の成就』の独訳者・平田高士氏を悼む

 僭越ながら、一言コメントすることをお許しください。Die Fülle des Nichtsを「無の無量さ」と訳したのでは誰も共感しません。久松眞一先生の「東洋的無の性格」は、「無の成就」でこそ驚くのです。1975年頃だと記憶していますが、指導教授のユンゲルに久松愼一先生のドイツ語訳本を私が誕生日のプレゼントに差し上げたところ、「ダス・イスト・アーバー・ウンメークリッヒ」と叫んでおいででした。邦訳すると、「無が成就する?そんなことはあり得ない、不可能だ!」となります。久松先生の御本を平田高士氏か共訳者のJohanna Fischerが die Fülle des Nichts 訳出されたとき、欧米人の驚きを予想してそのように訳されたのではないでしょうか。言葉は存在の家(ハイデガー)、語ったことが成就すると言えば、誰でも理解できます。しかし、語らなかったこと、そもそも無いもの、無なるものが成就するなど考えられないからでしょう。驚嘆し唖然とする他ない。そうではないでしょうか?
 訳者の平田高士氏が2006年に亡くなられたとのこと、FASサイトの常盤義伸先生のご報告で知りました。遅ればせながら、心よりご冥福をお祈りいたします。11月3日(木)更新、Shigfried Mayer(宮村重徳)