2013年6月13日木曜日

「経済」と「社会」を天秤に、載せて目盛が噛み合わない?

【6月21日(金)更新】
 ブログの随所でことあるごとに、「比の一の値」に言及してきたので、読者の中には何のことだろうと首をかしげておられるに違いない。そこで、経済指標となっている場合のそれを参考にして、基本的理解をおさらいしておきたい。比の一論は単なる目盛合わせでない、株価変動に振り回されない、成熟した政治社会実現のためのトライアル、非正規であれ非常勤であれ、働く人の存在を復権させるための楔打ちか、主権在民の縁起こしを意識した投げ網造りである。
日本での株式評価額は過熱気味なのか、それともたいして過熱感がない、不安は必要ないということなのか。リスク評価の秤縄は、景況感で乱高下する経済の指標となる比の一の値がどれか、判断の目安とする単位が整数倍か分数倍か、それ次第で景況判断が分かれる。
問題は、日本の株価が実際の企業の業績とどれくらい一致しているのか、あるいはどのくらいかけ離れているか。統計上は業績が徐々に改善してきていることから、しばしの調整期間を経た後回復が期待されるので、株価が過熱しているとは感じられないと言える。
企業の業績と株価の関連を分析するに、「PER」と「PBR」という二つの指標が参照される。「PER」(price earnings ratio)は株価の収益率のこと、通常はP/EかP-Eと表記される。これは「株価÷1株あたりの純利益」で計算される。つまり、株価が純利益の何倍か、整数倍か分数倍(1以下の小数値)で純利益を表す指標だ。数値が低いほど、株が割安だということを示す。
ただ、ここで算出された「純利益」は、今期末の予想業績だという点に注意。前期実績と比較して、2023倍程度ならどうか、判断の分かれ目となるのは、比の一の値を求め割り出す定式の、「株価÷1株あたりの純利益」で得られる数値次第。
この指標から分析すると、20136月現在の株価はそれほど高くない。つまり、企業の業績全体から見て、株価が高すぎる状況ではない。この間急ピッチで株価が上昇してきたので、今しばし調整中ということだろう。
株が買われる時、それぞれの「PER」が参照される。PER20倍を超える時は、通常「割高でリスクが伴う」と判断されて、誰も積極的に株券を買わない。
景況感を測るに、「PBR」というもう一つ別の指標が参照される。PBRprice book-value ratio)は株価の純資産倍率のこと、通常はP/BかP-Bと表記される。これは「株価÷1株当たりの純資産額」で算出される。指標が1を割る(小数値を取る、整数1以下の分数倍となる)と、理論的には会社を解散したほうがいい、早めの解散に相対的価値があるということになる。東証一部全体で1.3倍でも、東証二部では0.85倍と低水準ならどうか。判断の目安となるのは、ここでも比の一の値を探る二番目の定式、「株価÷1株当たりの純資産額」によることになる。
いずれにせよ、PERPBRRは〈ratio〉のこと。Rは商いする際の合理的算定率、経済行為をする人が求める効率は経験値、従うべき格率(Maxime)は目標値である。これは、利害に絡む社会言論活動の指標ともなる。但し、経済人(homo ecconomics)の格率論を凌ぐ高度の計算機器の登場によって、混乱のリスクも増大し先行き不透明感に足元を掬われよう。経済と社会を天秤に載せても、目盛るモノとヒトが噛みあわないのだ。
はたして人間は、機械(的に働くモノ)との闘争に勝てるのか。まさしく、生き残りの尊厳と人権がかかった問題となる。しかるに、機械は人権(人格存在)を理解できない。景況判断をメカニックに割り出せるとしても、木目と金目と人目では、計る目盛が違う。だからこそ、「理解社会学」(ヴェーバー)が必要となる。

Shigfried Mayer(宮村重徳), copyrights ⓒ all reserved, by the Institute for Rikaishakaigaku

注: このブログ記事は、日経BizCollegeの記事:小宮一慶の「スイスイわかる経済!数字力トレーニング」(「株価は再浮上するのか? 急落の原因と見極めポイントを探る」、201367日掲載)を参考にして作成しています。学習中なので、間違いがあったら、ご指摘ください。

0 件のコメント:

コメントを投稿