2012年11月29日木曜日

失敗した政治主導の『駆け込み寺』

【12月1日更版】
多党が乱立する今日の日本政治の状況は、「官僚依存からの脱却」を謳いながら失敗したか途上にある、民主党政治のツケなんでしょう。さすがのドジョウ政治でも、分厚い官僚制度の壁は未だ破れそうにない。そのような中で、第三勢力を狙う新党結成と再編の動きがあわただしい。地方行政の長(知事)までが中央政界の変革に手を出し挑戦する事態は、評価の良し悪しはともかく、それ自体新しい時代の幕開けなのかもしれません。ただわたしには、脱原発や卒原発を名目的に標榜することで、そこを失敗した政治主導の「駆け込み寺」にしたいか、行き場を失った小政党の受け皿も一時の隠れ蓑に過ぎないように思われます。政治の転換期に、耳目を引くスローガンを立て、一気に流れを作るのが、小沢一郎氏の好む選挙用の得意技ですからね。政治哲学の片鱗もない政策的な摺合せ(「諒解」)もない野合だから、国民を動かす運動にはならず、有効な得票を期待することは難しいでしょう。未来日本の党首の手腕は、全くの未知数ですし、首を挿げ替えても・・・、国民のだれが国政を任せる気になるのでしょうか、疑問です。
「政治的動物」(アリストテレス)を突き動かしているエス(刺激的情報)には、格別の注意が必要です。政治言論には選挙用の見せ掛けが多いから、マニフェストの謳い文句にはくれぐれもご用心ください。「政治的存在」の言行一致に目的合理性の信憑性が問われます。不思議なことに、どの政党にも官僚依存脱却失敗の反省がない。残念なことに、あってもまともな総括すら聞かれない。
混沌としたそのような時だからこそ、就活世代の君たちが積極的に選挙に参加して、自分たちの世代を盛り上げてほしい。明日の社会がどうなるのか、不安でいっぱいの暗夜行路ではあるけれども、キャスティングボードを握るのは、君たち以外にはいないのだから。啓蒙主義以来の「未成年状態」(カント)からの脱却は、官僚を含む政治的「存在」とは何かを、君たちが自分の大地に踏みとどまり、しっかりと考えることなしには不可能だということを、決して忘れないでほしい。ロードマップとなる模範解答はありません。暗夜を「手探り」で模索してください。快適なタッチパネルもありません。「素手・素足・素顔」で探してください(笑)。
それでは困る?考えるのは面倒で嫌?そこで最後に考えるヒントを一つ、暗部(ナチスとのタッチ)を嫌疑するあまり、存在を明るみに出すハイデガーの画期的な質問状(epochmachende Fragestellung)までゴミ箱に捨ててしまわないようにね。諄いようですが、ハイデガーとヴェーバーへの学びは、未来日本を考える人のための必須要件です。

Shigfried Mayer, copyrights © all reserved, by 宮村重徳, the institute for Rikaishakaigaku

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